絶対に壊れてほしくないこれからの暑い季節に何故か壊れてしまうのが「冷蔵庫」。なかでも2ドア冷蔵庫でよくある「冷蔵室だけが冷えない」という症状にフォーカスを当てて原因と対策を書いていきます。
今回は直冷式ではない「強制循環方式冷蔵庫」(自動で霜をとるタイプの冷蔵庫)の冷蔵室が冷えない原因を解説します。
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冷蔵庫の冷蔵室だけが冷えない原因
冷蔵庫の「冷凍室」は問題なく冷えていて「冷蔵室」の冷えが弱い、もしくはまったくの常温という場合は冷蔵庫の冷気を送り出すパーツと経路に問題があります。
冷蔵庫は通常、冷凍室で冷蔵庫を丸ごと冷やす冷気を作ります。そしてその冷気を冷蔵庫中に巡回させることで冷蔵庫を冷やします。
冷凍室が問題なく冷えている場合は冷蔵庫は冷気を作るための「冷やす機能」は生きている可能性が非常に高いです。
このケース(冷凍室が冷えていて冷蔵室が冷えない)で考えられる原因は2つです。
それでは詳しく見ていきましょう。
冷凍室が冷えていれば冷気は作り出せている
霜取り機能がある冷蔵庫は通常「冷凍室側」で冷気を作っています。冷凍室の奥の壁は外れるようになっておりその奥に凝縮器と呼ばれるアルミフィンがあります。コンプレッサーで圧縮され冷やされたガスがここで冷気をつくります。冷凍室には冷えた空気が自然に流れ込み、冷蔵室には冷却ファン(プーリー)で吸い上げて冷気を送ります。
冷凍室が冷えている場合はこの冷却器は生きているので、冷蔵室だけが冷えない際に考えられる可能性はせっかく作り出された冷気が何らかの理由で冷蔵室に届いていないというケースです。
冷却ファン(プーリー)が壊れている
冷蔵庫の冷凍室が冷えているのであれば冷気は間違いなく作られています。それなのになぜ冷蔵室が冷えないのか。まず考えられる可能性は冷却ファンが壊れているケースです。
下の画像の部品が冷蔵庫の冷却ファンです。これが回転して冷凍室の冷気を冷蔵室へ流します。
冷却ファンが故障していると冷凍室側の冷気を冷蔵室側に運べません。このパーツの故障で冷蔵室だけが冷えないという症状が考えられます。逆に言えばこのパーツが壊れた場合はこの症状(冷蔵室のみ冷えない)しか冷蔵庫では確認されません。
冷却ファンが壊れている場合は交換しかありません。
以下のサイトから購入も可能です。
冷却ファンの故障の検査方法
直接冷蔵庫の内壁を外し、冷却ファンが回るか確認する方法が一番です。
2ドア冷蔵庫の場合、冷蔵室扉が閉まる際にボタンが押される仕組みになっておりこのボタンがONになることで冷蔵室のライトが消え、冷却ファンが回り、冷気を循環させます。
冷却ファンが問題なく回っていれば考えられる可能性は霜取りでの不具合です。
冷却ファンは冷蔵室温度が設定温度より高い場所は庫内を冷やすために扉を閉めれば必ず回ります。
この冷却ファンの場所は2ドア冷蔵庫では冷蔵室と冷凍室の中間あたり。
冷蔵庫の内壁を取り外せず、分解ができない場合は音で確認しましょう。
冷蔵室扉を閉めて冷蔵室の裏側に耳をあてると冷却ファンの回る音が聞こえるはずです。
コンプレッサーとは別のブーンとプロペラが回るような音です。扉を開けると回転数が下がりプロペラが自然と止まるような音がして止まるはずです。
これが生きていれば(プーリー音がすれば)違う可能性があります。
冷蔵室への冷気の流れるルートが塞がれている
冷凍室で冷気が作られその冷気を冷却ファンが「冷蔵室」に運んでいるにもかかわらず冷蔵室に冷気が届かないのは何故か。この場合はそのルートに問題があります。
冷気の出口の確認
これは可能性は少ないのですが冷蔵室の冷気の出口が何かしらの原因で塞がれているケースです。
冷蔵室のライトのプラスチック製カバーが外れて冷気の排出穴をふさいでいる場合でも起こりえます。
その他食材で冷蔵室の冷気が入ってくる空気穴が塞がれていないか確認しましょう。
冷蔵室側に入ってくる冷気は驚くほど弱いです。
ちょっとした障害物でも冷気が届かない場合があります。
また、冷蔵室の扉はスイッチ式となっており扉が閉まるとスイッチが押され庫内のライトが切れ、冷却ファンが回りだします。
スイッチが見つかれば扉を開けたままスイッチを押し空気穴から冷気が流れ込んでくるか確認しましょう。
冷蔵室に流れてくる冷気はじわっと入ってくる程度の流れですので注意して指先などで確認してください。
障害物が原因であった場合は取り除いてその後問題なく冷えるか確認しましょう。
冷蔵庫の霜取り機能の故障
冷却ファンが動いて、冷蔵室側の空気穴も塞がれていない。
冷蔵室扉の開閉スイッチを押すと壁の奥から冷却ファンからの風は届くがとても冷気とは呼べない常温の空気という場合。
このケースでは霜取りパーツの故障がまず考えられます。
冷蔵庫の霜取り作業とは
強制循環方式の冷蔵庫はアルミフィンは冷やす工程で霜が付くため、定期的に付着した霜をヒーターで溶かしています。
この霜取り作業は「霜取りセンサー」が霜を感知して(もしくは霜取りタイマーが作動して)アルミフィン熱交換器の下にあるヒーターが発熱し霜を溶かします。
冷蔵庫の中に意外にも発熱するヒーターが入っているんですね。
ヒーターが熱くなりすぎて冷蔵庫の内壁を溶かさないように「温度ヒューズ」も搭載されてます。
そして一連の工程で無事に霜を溶かしたら通常の冷蔵庫として動き始めます。
考えられるのは霜取りパーツの故障
霜取り作業に必要な上記パーツのどれかひとつでも壊れていると冷蔵室が冷えなくなります。その理屈はパーツによって様々ですがどちらにしてもパーツの交換以外で直ることはありません。
冷蔵室が冷えない理屈は冷蔵室への冷風が通る経路が蓄積された霜で塞がり霜の壁となり、冷気が送れないからです。冷凍室は凍りついたアルミフィンの冷気で直に冷えますが冷蔵室まで冷気は届きません。
できるのは応急処置
霜取りパーツが壊れている場合は修理依頼か買い替えが必要になります。ただ新しい冷蔵庫が到着するまで冷蔵庫なしで過すのは夏場はとくに大変です。そこでできる応急処置があります。
冷凍室の奥の氷を溶かす
応急処置としてはとにかく霜を溶かすことが優先です。必ず冷蔵庫の電源を切りましょう。
夏場であれば常温で扉を開いたまま丸一日放置すれば氷は溶けてしまうのでその後電源をつければ2日程度冷える可能性があります。
丸一日も待てないという方は冷凍室の奥のパネルを外しドライヤーで熱を与えて溶かします。
適度に距離を開けて急がず溶かしましょう。あまりドライヤーと距離が近いと他のパーツを熱で傷めてしまう恐れがあります。
冷蔵庫はこれで直る?
実際に冷蔵庫はこれで息を吹き返す可能性があります。
湿気が多い時期に冷凍室が開けっ放しになっていた(隙間が開いていた)場合などは大量に付着した霜を霜取りで溶かしきれない場合があり、溜まり溜まった霜を完全に溶かしきることで治る可能性があります。
ただしこれは稀で大体2日ぐらいすると冷蔵室の温度が上がって同じ症状を繰り返します。
ただ試してみる価値はあると思いますので湿度の高い時期に冷蔵室が冷えなくなった場合は応急処置をしてみて直らなければ修理か買い替えを検討されるのもありだと思います。
冷蔵庫の霜取り故障 まとめ
霜取りの故障はパーツ不具合の場合は個人で直すことはほぼ不可能です。稀に霜を溶かしきることで完全に直る可能性もあるので試してみる価値はあります。
特にこの症状はある期間のシャープの2ドア冷蔵庫に多くその原因は温度ヒューズにあります。
シャープの冷蔵庫は霜取りの際に温度が上がり過ぎないように「温度ヒューズ」が搭載されておりますが、80度近くになるとヒューズが飛んでしまい霜取りができなくなってしまいます。温度が上がりすぎるのが原因なのか、温度ヒューズの設定が低すぎるのか不明ですがシャープの2ドアで冷蔵室だけが冷えない場合はまずこの症状を疑ってみてください。