冷蔵庫は白物家電の中でも頑丈で壊れにくい家電です。壊れてとしてもサーミスタやプーリーなどの交換で直る症状もありますが、冷蔵庫はコンプレッサーが故障した場合は買い換えを検討する必要があります。
理由はコンプレッサー自体が非常に高価であるのに加えて、交換には冷媒ガスの回収と充填が必要となるため、かなりの金額が必要になるからです。
コンプレッサーの故障は簡単なパーツを交換すれば直る別の故障(詳しくは後述)と症状が似ているため玄人でも判断が難しい不具合です。
今回はそんな冷蔵庫の致命的不具合となるコンプレッサーの故障とはどういったものかを記事にしていきたいと思います。
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冷蔵庫のコンプレッサーとはどういったものなのか
冷蔵庫のコンプレッサーとは家庭用の冷蔵庫では本体裏の下部についている黒い塊のモーターです。
コンプレッサーは冷媒ガスを圧縮するポンプ的な役割を担っており、冷蔵庫の心臓部のような大事な装置です。
動作に問題がなければブーンと低くうねって細かく振動しており、指先で触るとわかるのですが、かなりの熱をもっています。
コンプレッサーの上には蒸発皿というプラスチック製の皿があり、冷蔵庫内部の霜を溶かした水や余分な水分が乗る仕組みになっていて、この熱で冷蔵庫から出た水分を蒸発させる一石二鳥な役割も担っています。
コンプレッサーが故障したときの特有の症状と確認方法
大前提として冷蔵室の扉を開いて室内灯が点灯しているのを確認しましょう。
これで冷蔵庫に電気が来ているのがわかります。
電源がきているのを確認できたら、一度電源を抜き、しばらくしてコンセントを差します。
次に「コンプレッサーの音」を確認します。
コンプレッサーには保護装置が取り付けられており、コンプレッサーが一定以上の高温になったり、内部で負荷がかかると保護回路が働いてコンプレッサーを強制停止させます。
その時の独特の音が定期的に繰り返される「カチッ」とういう保護装置の音です。
そしてコンプレッサー自体の動作音も大事な判断ポイントとなります。
最近冷蔵庫のコンプレッサーの音が大きくなった、コンプレッサーの音がカン高くなったという場合は要注意です。
これはコンプレッサー内部のモーターがうまく動作しない時に発生する音です。
そしてコンプレッサーから異音がして、しばらくすると(2,30秒~1分前後)「カチッ」という音がしてコンプレッサーが動きを停止するという場合はコンプレッサー自体の故障の可能性が極めて高いです。
コンプレッサーの動作に負荷がかかり保護装置が働いて強制停止させているのです。
冷蔵庫コンプレッサーの故障と似た違うパーツの故障もある
コンプレッサーの故障と間違えやすい故障に「PTCサーミスタ」の故障があります。PTCサーミスタとは(PTC:Positive Temperature Coefficient)の略で簡単にいうと、冷蔵庫ではコンプレッサーを熱から保護する役割があります。
コンプレッサーに密着するように取り付けられており、コンプレッサーが一定の温度を超えると、コンプレッサーの動作を強制的に止めてしまいます。
この時にPTCの上にあるリレーが発する「カチッ」という音がコンプレッサーの故障の時と同じです。
PTCサーミスタはプラスチックのケースに内蔵されており、分解すると分かるのですが、半導体セラミック製の物質で外観は市販のビタミン剤みたいな形をしています。
一定の熱が加わると抵抗値が上がり回路を遮断するのですが、このPTCサーミスタ自体が破損して割れていたり、劣化して機能しなくなることがあります。
この場合はコンプレッサーに問題がなくても強制的にコンプレッサーの動作を止めてしまいます。
コンプレッサーの故障か保護装置(PTC)の故障か見極めるには
冷蔵庫のコンプレッサーの故障か、サーミスタの故障か見極めるには特有の保護回路が働いた時の「カチッ」という音がする間隔の違いを見る必要があります。
コンプレッサー自体の故障の場合
- 電源を投入後、コンプレッサーはしばらく(数十秒)は動く
- コンプレッサー動作音が今までと違う音になる(特に大きくカン高くなる)
- しばらくするとカチッと音がしてコンプレッサーが停止して、しばらくすると同様の症状を繰り返す
PTCサーミスタの故障の場合
- 電源を投入後、コンプレッサーが動き出してすぐ、もしくはコンプレッサー動き出す前のタイミングで「カチッ」という音がしてコンプレッサーが停止する。
- コンプレッサー自体はほとんど動かないのでコンプレッサーの動作音を確認しようがない
- しばらくするとカチッと音がして同様の症状を繰り返す
どちらもしばらくして「カチッ」という音が繰り返されるのは一定の間隔が開くことでリレーが再始動するからです。
しかしその先に違いがあります。
コンプレッサーの故障の場合はしばらくはコンプレッサーが唸り動作しますが次第に負荷がかかり保護回路が働いて「カチッ」と音がして強制停止します。
PTCサーミスタの故障の場合は始動してすぐ、コンプレッサーが動作する直前か動作したタイミングで「カチッ」と音がして強制停止します。
ただし、コンプレッサーに致命的な問題があり、内部のモーターが故障している場合は振動も音もなく全く動作しないケースもあります。その際はコンプレッサーとPTCサーミスタどちらが原因なのか見極めるのは難しいでしょう。
冷蔵庫のコンプレッサーは年々壊れやすくなっている
家電全般において共通する話ですが、全体的に昔に比べてすべてのパーツが壊れやすくなっています。
特にコンプレッサーはそれが顕著で、以前国内で製造されていた頃と比べて格段に寿命が短くなった気がします。
現在、冷蔵庫のコンプレッサーはかなり軽量化されていて、そのほとんどがLG電子など海外製です。
冷蔵庫のコンプレッサーが故障した場合は、保証期間でない限り買い換えを検討した方がよいでしょう。
但し、似たような不具合に前述した「PTCサーミスタ」の故障があります。
この場合はこのパーツの交換だけで済みますので修理費用はそこまで高額にはならないでしょう。
今回の記事が冷蔵庫のコンプレッサーの故障診断の参考になれば幸いです。
記事:福岡の冷蔵庫買取ショップ・ブンダバー